Column vol.3

語り手 中野幸生

家庭のお酒から、世界のUMESHU へ

古くから地域で親しまれ、変化を遂げてきた和歌山梅酒。和歌山県内でも老舗の酒造メーカーで、長年梅酒の普及のために取り組んできた中野幸生さんに和歌山梅酒のこれまでと、可能性について語ってもらった。

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梅の産地である和歌山では、収穫した梅を使って農家が自家製梅酒をつくるなど、昔から「梅酒は家庭でつくるお酒」という位置付けでした。1962年に酒税法が改正されて自家醸造が認められてからは、酒造会社が梅と砂糖とお酒をセットにして販売していたこともあります。


和歌山で最初に梅酒を製造・販売した会社については記録がなく分からないのですが、うちの会社(中野BC) が梅酒の製造を開始したのは1979年。といっても当時は梅酒が大きな市場になるとは思ってもいなかった(笑)。 家庭でつくるお酒というイメージが強かったものの、息子(現社長・中野幸治氏)に「梅酒はもっと面白くなる!」と力説されたんです。その頃に販売していた梅酒は梅・砂糖・ホワイトリカーでつくるシンプルなものが主流。それでは自家製梅酒と違いがなく、売れません。


そこで差別化するために赤じそや緑茶を加えたりして、 少しずつラインナップが増えていったんです。2000年前後になると健康志向の流れもあって、梅酒が女性に好まれるように。日本酒やウイスキーベース、フルーツを加えたものなど、和歌山梅酒も種類が増えていきました。 これが梅酒の面白さなんですよ。梅酒は梅・酒・砂糖の割合を変えたり、熟成期間を変えたり、いろんな工夫ができるから味のバラエティーに富んでいるんです。


2020年には「GI和歌山梅酒」として認定されました。 GIは国際的に認知されている制度なので、これをきっかけに梅酒はもっと世界的に認められていくはず。実際、 梅酒は海外でも売り上げが伸びています。梅になじみのある中国をはじめ、インド、タイ、ヨーロッパ。ワインに慣れ親しんだフランスだと熟成にこだわりがあり、長期熟成した梅酒を絶賛してくれました。梅酒はリキュールなので、リキュールになじみのある諸外国では受け入れられやすい。先人の努力が実って生まれた南高梅は日本一、いや世界一の梅だと思っています。和歌山の特産である梅と和歌山梅酒をもっと広めていきたいですね。


なかの・ゆきお

梅酒や日本酒を製造する中野BC株式会社会長。和歌山梅酒がGIとして認定されるために尽力し、「GI和歌山梅酒管理委員会」会長も務めている。

Credit:イラスト/ナカオテッペイ 文/越智理絵


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